先日、中学生の社会の授業で、このようなやりとりがありました。
私「ノルマントン号事件って、どのような事件か説明できますか?」
生徒「イギリス人が船長だった船が沈没して、乗客が亡くなった事件です。」
私「そうですね。イギリスという国名を覚えているのは、良いですね。ただ、重要な要素が抜けているのですが、もう少し詳しく説明できますか?」
生徒「船長が、乗客を助けなかったのに、罪が軽かったです。」
私「それももちろん重要ですね。しかし、これが日本の歴史の教科書に載っているということは、何か理由があるのですが、分かりますか?」
生徒「それは分かりません。」
そもそも日本国内で起きた事件なのですが、乗客というのは日本人で、乗っていた日本人全員が犠牲となりました。
ところが当時は、日本国内で起きたとはいえ、外国人が犯した罪は、日本の法律で裁くことができませんでした。(これを、領事裁判権といいます)
その結果、船長は軽い罪で終わり、日本国内では、非難の声が上がります。
(この事件の後、陸奥宗光が領事裁判権の撤廃に成功します。)
この生徒さんは、「イギリス人の船長」「船が沈没して、犠牲者が出た」「船長は、軽い罪に問われて終わった」というポイントは覚えておりました。
しかし「日本との関係・影響」を忘れており、惜しくも不十分な説明になってしまいました。
ただ、この生徒さんなりに一生懸命説明してくれたので、私も「すごく惜しかったね」と言いながら残りを説明し、理解していただきました。
どの教科にも言えるのですが、「その用語はどういう意味か」「なぜそのような解き方をするのか」を説明するのは、難しいと思います。
おそらくですが、普段の勉強から、「自分で説明できるようにするぞ」という意識がないと、ふつうはできないと思います。
高校生は、多くの学校で中間試験が終わりましたが、中学生は、これからの学校もありますね。
ただ用語や解法を覚えるのではなく、「説明できる」くらいに準備をして、試験に臨みましょう!