以前、新聞のコラムで印象に残る一節を読みました。
「高校のスポーツ記事では、やめた監督や病気の家族、引っ越した友達などの物語が入る。生徒たちはその感動話を作るのに忙しくて練習どころではないだろう。」
もちろん、これは高校生を批判する言葉ではありません。
むしろ問いかけられているのは、私たち見る側でしょう。私たちは結果だけでなく、その背景にある「物語」に心を動かされます。
では、物語とは何でしょうか。
それは、特別な出来事ではありません。毎日の努力や迷い、思うようにいかなくても続けた時間が、あとから振り返ったときに一つの意味を持ったもの。それが物語なのだと思います。
炎天下で繰り返した練習も、誰も見ていない朝の自主練も、その瞬間はただの「日常」です。しかし、その積み重ねが結果につながったとき、初めて一つの物語として語られます。
順番は逆です。
物語があるから努力するのではありません。努力を積み重ねた結果として、物語はあとからついてくるのです。
これは受験も同じです。
志望校への憧れや将来の夢はもちろん大切です。しかし、合格を決めるのは、今日覚えた単語、昨日解き直した問題、そして「もう一問だけ」と机に向かった時間です。
受験が終わる頃には、「毎日自習室に通った夏」「苦手な数学を克服した夏」という、それぞれの物語が生まれていることでしょう。
だから今やるべきことは、物語を思い描くことではありません。一問でも多く解き、一ページでも多く進めることです。
今年も夏休みが始まります。
夏は、一年で最も勉強時間を確保できる時期です。この夏の積み重ねが、秋以降の大きな成長、そして受験本番の結果につながります。
「この夏期講習が、自分を変えるきっかけになった。」
そんな一文は、今つくるものではありません。この夏、一日一日の努力を積み重ねた先に、自然と生まれるものです。
育英センターの夏期講習が、いよいよ来週から始まります。
私たちは、一人ひとりが目の前の努力を積み重ね、その先に「この夏が自分を変えた」と振り返ることのできる夏となるよう、全力で支えてまいります。


