映画「君の名は。」ご覧になった方も多いと思います。この映画は長野県出身の新海誠監督の作品で、ご自身の出身地の諏訪湖や、飛騨地方、東京の街など、実際にある風景がアニメーションで描かれています。アニメーションであるのに、その風景はカメラ映像で観るものや、実際に自分の眼で見るものにも劣らない美しさです。
最近では映画やドラマなどにでてくる場所、モデルにした場所を「聖地」と呼び、そこを訪ねることを「聖地巡礼」と言うそうです。映画と同じ風景の中に身を置くことで、主人公の気持ちにより近づくことができる、また主人公になりきってみる。あるいはその場所に行くことで、現実にはいないはずの主人公に会えるような気がする。などなど、色々な気持ちがファンの足を聖地へと向かわせるのでしょう。現実の場所を仮想の世界に登場させることで、その物語がより現実味を増して、観る人の心に響いてくる。私達が毎日暮らしている日常と映画の世界を結ぶ入口なのかもしれません。
さらに新海監督の作品に今までに出会ったような親しみを感じるのは、彼の子供時代に体感したこと、例えば、冬の寒さの中、太陽が昇ってくると少しずつ暖かく感じたこと、また、ある日見た夕日の沈む空の美しさなど、実際の経験に基づいて描かれているから、つまり、私達も似たような経験があったり、自然や季節の移ろいの中に身を置き、それを肌で感じとってきたからだと思います。
聖地巡礼とは私達大人が忘れかけたものを探しに行く旅なのでしょうか。また、子供達にとっては新たな感動に出会える旅となるのでしょうか。