先日、「明治のころ モースが見た庶民のくらし」という本を読みました。
昨年、江戸東京博物館で行われていた展覧会のガイドブックです。筆者であるエドワード・モース(アメリカ)は明治10年に来日し、大森貝塚を発見した動物学者で、東大の教授も務めました。
この本には彼が日本で見つけた、日常使われていた道具や着物、ビンに入った未開封の砂糖菓子などが載っています。それらを見ていると、まるで自分がタイムスリップしてその時代にいるように感じます。そして彼はそのころの日本に対して、とても印象深い言葉を残しています。
「世界で日本ほど子供を大切にする国はない、そして子供に目をかける国もない。ニコニコしている子供達はとても幸せそうだ。」これだけだと子供が甘やかされているように思うかもしれませんが、さらに「両親を敬い、お年寄りを大切にする日本の子供は世界に誇れるものだ。」そして「日本の人々は正直で実に気持ちがよい。」と続けています。
写真から見える人々の表情はとても生き生きとしており、道具からは生活の息づかいが聞こえてくるようです。
"We live in the future of theirs."
―そのころの未来に 私達は生きているー
その本の裏表紙に見つけたこの言葉に、私はドキッとしました。毎日何気なく過ごしていますが、現在生きている私は過去から繋がっている、そしてこうして生きている"今"も未来の人から見れば、過去の一部になっていくのです。私が垣間見た明治の人々の暮らしが、潔く、清らかに感じられたように、未来の人達は今の私達をそのように感じてくれるのでしょうか?
そして何より未来の自分が今の自分を「よくやった」と褒めてやれるような毎日を過ごしているでしょうか?
私達は何気なく毎日を"過ごして"いますが、大切なことを見過ごさず、毎日を"生きて"いかなくてはなりません。私はまず自分と周りの人達が笑顔でいられるように、一日一日を大切に生きていこうと思います。自分の未来のために、子供達の未来のために。