四半世紀ほど前のことだったでしょうか。
高3クラスに元気のいい男(A君とします)がいました。
学力はそれほどでもなく、合格までは大変かなと思っていました。
しかし、A君は質問されると、ともかく的外れな答えでも大きい声ではっきりと答えるのです。
まちがいですがら、当然
「いや、ちゃうで。3キロほど離れてるわ」
と、冗談交じりで、私が応答するという具合で、クラスもわき上がってしまいます。
まあ、普通は、(たぶん答えはこうかな)と思っていても、
黙って、中には下を向いてしまう生徒も多いですね。
そういう生徒の心理は、
(言って間違えて恥かくくらいなら、黙っておこう)
ってなところでしょう。
気持ちはわかりますが、こういう生徒は進歩が少ないです。
逆に間違った答えを言っても恥をかくとしっかり記憶でき、
二度とそのことで間違えません。
たとえて言うなら、バッターボックスに立った野球選手が全くバットを振らずにボールを見逃しているようなもの。
確かに、たまには四球で出塁できるだろうが、打撃術は全く進歩しない。
打って、打ち損じてはじめて
「あっ、そうか。カーブはあの打ち方ではアカンのや」
と、気がつくわけです。
さて、A君ですが、教室で恥をかき続けましたが、じわじわと成績を上げ、
東京の有名私立大に合格しました。
その後、県内の大手銀行に入社でき、
持ち前のガッツで営業していると、後で同じ銀行に入った卒塾生から聞きました。
教室で質問されても、黙ったまま下を向いている生徒は、その場では
「小さな恥はかかない」が「進歩しないという大きな恥」を、後々かくのである。
自分なんて、完全無欠な人間じゃない、
間違えて当たり前、
間違って恥をかいて、失敗したことを心に刻もう!