新型コロナにより学校の休校が余儀なくされ、その結果として自宅で学習できるオンライン学習が注目されています。
確かに便利に見えるオンライン学習ですが、いまから5年前の2015年にOECDが「教育へのコンピュータの導入が進みすぎると、かえって学力が低下する」という衝撃的な結果を報告しています。
この調査は学校におけるコンピュータの普及率と子供たちの学力の関係を調べたものなのですが、この結果、最も学習効果が高かったのが普及率が平均より少い国で、まったく普及しない国と普及が進みすぎた国で学力の低下が大きい、という結果が出ています。
ここのホームページがわかりやすく解説しています。
https://debatekk.net/business-skill/20151006/
学研CAIスクール富山本部校では開校した10年前より授業にコンピューターを導入し、7年前には家庭でオンラインで学習ができるシステムを導入した、コンピューターを用いた学習についてはもっとも歴史とノウハウを持っている学習塾の一つです。
この10年の経験から、この調査結果には「やっぱり」と感じています。
理由は簡単です。「正しく勉強しなくなる」からです。
コンピューターもタブレットもオンラインも、結局は勉強するときに用いる道具でしかありません。
なんでもそうですが、道具は正しく使って初めてその役割を果たします。
勉強の仕方というのは、実に地味です。
自分で辞書や辞典を調べて、調べたことを自分なりにまとめて整理して、それから自分なりに考える、ということに他なりません。
この「調べること、まとめること」が勉強をするうえで最も大事なことであり、問題を解くということの大前提となります。
コンピューターの良いところは、写真や動画があるので、イメージしやすい、理解しやすいというところにあります。
ところがコンピューターは、どう調べればいいか、どうまとめればいいかは教えてくれません。これはオンラインも同じです。
ここに気づかないと、コンピューター学習のワナにはまります。
学研CAIスクール富山本部校が「勉強の仕方」にこだわるのは、その理由からです。
私たちがコンピューターをどう使えば一番学習効果が高いかを研究して10年経ちました。この間に培った膨大なデータと経験は、おそらく学習塾業界でもトップクラスだと思います。
(実際に、私どもが開発したコンピューターを使用した勉強の仕方は、その効果が認められて学研の本部に導入されて、全国の学研CAIスクールで使われています。)
このOECDの報告書の中で提言されていることは、私どもがそのはるか前からやっていたことです。
コンピューターやオンライン教育は夢の勉強道具ではありません。我々はこのことに十分気を付ける必要があると思います。
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What the data tell us
このデータが訴えるもの
• Resources invested in ICT for education are not linked to improved student achievement in reading, mathematics or science.
子供たちへの学習のために取り入れられたコンピュータなどのICTは、読解力や数学、科学の理解度の向上には結びつかない。
• In countries where it is less common for students to use the Internet at school for schoolwork, students’ performance in reading improved more rapidly than in countries where such use is more common, on average.
学校での学習でのインターネットの使用が平均より少ない国では、平均もしくはそれより多い国に比べて読解力の向上が著しい。
• Overall, the relationship between computer use at school and performance is graphically illustrated by a hill shape, which suggests that limited use of computers at school may be better than no use at all, but levels of computer use above the current OECD average are associated with significantly poorer results.
まとめると、学校でのコンピューターの使用状況と学力は図で示されるように山の形を示し、コンピューターを限定的に使用することのほうがコンピューターを全く使用しない場合に比べてより良い結果を示し、またOECDの平均より使用頻度が高い場合はかえって特筆的に低い結果を示す。
(翻訳:学研CAIスクール富山本部校代表 山下)