3年ほど前、「脳卒中」で入院しました。そのとき、入院中はヒマで、「狭心症」でもあるので、病気の周辺を勉強しました。本は読み放題、医師・看護師と専門家に質問ができるという、ラッキーな条件の下、勉強は進みました。以下に、血圧を上げない「アイウエオ」としてまとめてみました。
「あ」=〈あせらない、あわてない〉
心に余裕をもたせないと、血圧は上がります。あせらず、あわてず、行動する。そうすると、日常生活のミスも減るというおまけまでついてきます。
「い」=〈イライラしない。いばらない
私は、大阪弁で言う「イラチ」という性格です。短気で、人がもたもたしているとがまんできないタイプです。これは絶対に血圧に悪いです。心臓にも悪いです。また、人間関係まで悪くします。
「う」=〈うらやまない。うらまない〉
人をうらやむという気持ちは、一面では向上心につながることもありますが、たいていは「何でオレばかり損をする」という、救いようのない不平・不満に行き着きます。人をうらやんでも仕方がないのです。他人は、見えないところで努力しているかもしれないし、幸運なだけかも知れません。それより、自分を高めましょう。
また、「うらみ」の気持ちも前向きではありません。自分のマイナスの境遇を何かのせいにすれば、一応の心のおさまりにはなりますが、現状は変わらないという、やりきれない事実だけが残ります。「人は人、自分は自分。私の希望を見つけよう」
「え」=〈えらそうにしない。塩分とりすぎダメ〉
威張ったり、えらそうにする時、その人は実は劣等感を持っているのですね。その劣等感を隠すために「お前よりえらいんだ」と、自分を納得させるための小道具を使うのです。{その小道具は「身分」や「金」「力」などです}高級な自動車に乗ってる人なんか、その典型でしょう。自分に自信が持てないから、高級な車という鎧(よろい) を着て威圧するのです。ところが、そこまでしても、心の奥では自分が非力であることがよくわかっているのです。だから、そのジレンマに苦悩し、血圧にも、心臓にも悪いのです。
自分の小ささを自覚しましょう。誰だって小さいんです。小さい自分で生きていくのです。助け合いながら……。
塩分については、医療関係の方があらゆる場で警告されています。特に日本人はとりすぎです。
「お」=〈おこらない〉
これは「い」「う」「え」と重なるところが多いです。ま、興奮すると良くないよってことですかね。こんなエピソードがあります。1985年に、阪神タイガースが20年ぶりに優勝しました。そのとき優勝を決めた試合をテレビで見ていた私。赤星選手がライト前ヒットを打った瞬間、「バンザーイ」と叫んで跳び上がりました。頭上の照明器具に頭を打ちつけ、ガーンでした。幸い、器具も壊れず、私に怪我もありませんでした。けれどなぜか「ひょっとして、いま血圧すごい高いんじゃないか」とひらめいたのです。すぐに家庭用血圧計で測ると、なんと上が189、下は忘れました。
みなさん、心穏やかに過ごしましょう。それにしても、阪神は心臓に悪い。阪神ファンはみんな高血圧かも。
《ところで》ここまで読んだみなさんは、「なんで、塾の通信と血圧が関係あるの」と思いましたね。残念ながら、そう思った時点であなたはこの文章の真意が読めていないのです。
「塾 → 子どもが勉強する → 成績が上がる」「さっさともっと役に立つこと書いてよ」と、そういう気持ち、すぐ「実利」につなげようとする気持ちこそ、心の安定を阻害しているということを、私は間接的に言いたかったのです。そういう功利主義的な気持ちは言葉にすぐに表れて、子どもたちにも「うちの親は成績のことばかり言う」「テストの点さえ良ければ、オレのことなんかどうでもいいんだ」と、反発されますよ。★