「教えて先生!」は、子育てや学習などの悩みや質問を、塾選びアドバイザーの早水(ハヤミズ)が、保護者やお子さんに代わって富山県内の有志のベテラン先生に相談、解決のヒントをお答えいただくコーナーです。
いよいよ2月から富山県の県立高校入試の願書受付が始まりますね。2019年度の富山県県立高校の推薦入試は、願書受付が2月1日金曜日の午前9時開始から5日の火曜日の正午まで、面接日が2月12日の火曜日、合格内定の通知書郵送が2月15日の金曜日です。
そこで今回は、推薦入試についてお聞きします。
富山県の高校入試。推薦入試のメリット、デメリットとは?
お答えいただくのは、高岡の秀英塾の屋鋪英明先生です。先生!どうぞよろしくお願いします。
秀英塾(しゅうえいじゅく)
屋鋪英明先生(やしき・ひであき先生)
担当科目:プログラミング・高校理科・高校数学
成績がなかなか上がらない、不得意教科を何とかしたい、定期テストで点が取れない、などの勉強上の不安を抱えているようであれば、ぜひご相談ください。お任せいただいたからには、最後まで責任を持ってお子さんをお預かりいたします。個別にゆっくり指導いたします。
推薦入試に向く受験生とは?
ハヤミズ
推薦入試は、合格した場合、早めに精神的に落ち着けるという点にメリットを感じますが、推薦入試を考える際、考慮したい点をお伺いしたいと思います。
屋舗先生
まず、推薦入試を視野に入れる際、推薦入試に向く受験生と向かない受験生がいるのをご存じでしょうか?
ここでは仮にA君タイプ・Bさんタイプ・C君タイプの3人を例に、シミュレーションしてお話してみますね。
■A君タイプ
あまり勉強しなくても良い成績がとれるタイプ。苦手な教科はない。
内申点(通知表の9科の合計点)が33(国 社 数 理 英 技 美 体 音)(計 5 3 4 4 4 3 3 4 3 = 33)で、模試での偏差値は60。
■Bさんタイプ
まじめにこつこつ勉強するタイプで、定期テストの成績や授業態度が特に良い。そのため内申点がやや高めで38 (国 社 数 理 英 技 美 体 音)( 計 5 4 3 3 5 4 5 4 5 = 38)。しかし実力テストになると力が発揮できないことが多く、特に数学と理科が苦手。模試での偏差値は53。
■C君タイプ
勉強は自分で進んでする方ではなく、人に言われてからやるタイプ。授業態度は普通だが、宿題を出さないことが多々ある。英語と国語が苦手で、数学はまずまず。内申点は29(国 社 数 理 英 技 美 体 音 )(計 3 3 4 3 3 3 3 4 3 = 29)で、模試での偏差値は48。
ハヤミズ
具体的な例をあげてくださると、わかりやすいですね。このなかで最も推薦入試に向いているのは、内申点の高いBさんのようなタイプでしょうか。
屋舗先生
はい。推薦入試に向く受験生とは、まず必要なのが志望校に見合うだけの十分な「内申点即ち通知表の9科目の点数」です。その点では、まずBさんが推薦入試に向いていると言えるでしょう。Bさんの場合は、模試のような実力テストに弱いという意味で、一般入試で受験するにはやや不安です。とは言っても十分に高い内申点があるので、公立・私立を問わず推薦入試に向いていると言えます。このBさんのように、実力よりも内申点の方が高めのタイプは「内申タイプ」と言え、最も推薦入試に向いている生徒と言えます。
では、次に推薦入試に向いているのはA君とC君のどちらでしょうか?
一見すると、A君と思われがちですが、実はC君の方が推薦入試に向いていると言えます。理由は「苦手な教科が多いから」です。
C君の場合は、内申点がそれほど高くないため、公立高校の一般入試では不利になってしまいます。また、苦手な教科が多いので、一般入試での学科試験の点数もそれほど期待できません。ならば、中堅の公立高校(職業高校)の推薦入試を受けた方が得策と言えます。
このように推薦入試は、単純に内申点が高い生徒の方が向いているというわけではありません。実力よりも内申点が高い「内申タイプ」が向いていると言えるのです。
推薦入試に向かない受験生とは?
ハヤミズ
いままでの通知表や、模試での成績などで本番で力を発揮しやすいかどうかなど、自分の性格やタイプを見極めることが大切ですね。では逆に、推薦入試に向かないお子さんというのは、どのようなタイプになるでしょうか?
屋舗先生
公立高校の場合も私立高校の場合も、志望校に見合うだけの十分な内申点がない場合は、推薦入試に向いているとは言えません。また推薦入試の場合は、合格したら入学を確約しなければならない「専願」が大半で、その後の受験に制限がついてしまいます。ですから、一般入試で十分合格する可能性が高い場合は、わざわざ推薦入試を受ける必要がありません。
その点では、A君は推薦入試に向かないことがわかります。模試での偏差値が60もあるので、公立・私立問わず一般入試で十分合格することが可能だと言えます。志望校のランクを下げてまで「推薦入試」にこだわる必要はありません。
このA君のように、内申点はそれほどではないが、実力のあるタイプは「実力タイプ」と言えます。このようなタイプは、推薦入試には最も向かないので注意しましょう。
A君の場合は実力に見合うだけの内申点がないため、難易度の高い公立高校の一般入試では苦戦を強いられる可能性が高いので、志望校選びには注意が必要です。
A君のような「実力タイプ」の志望校選びは、偏差値60(砺波・南高校)の実力に見合った高校よりは、たとえワンランク下げてでも内申33に見合った高校(大門・福岡高校等)を選ぶことがポイントです。
志望校判定として、富山全県模試又は育英模試の結果が参考になりますから12月・1月の模試は受けたほうがいいと思います。余談ですが、富山高専の推薦基準をお話すると、商船学科は3年2学期の通知表が32以上
商船学科以外だと、3年2学期の通知表が5教科(数学,理科,英語,国語,社会)合計20以上 かつ9教科合計32以上です。
ちなみに、石川高専推薦基準(一部)ですと、3年において学業成績が全体の上位20%内にあること、石川高専の一般入試4科目受験(社会がありません)
ハヤミズ
偏差値が高くても、内申が低い場合、楽観はできないですね。志望校選びについて、学校の先生や塾の先生と
よく相談して、お子さんの希望も考慮して慎重に決める必要があります。
高校の推薦入試は「諸刃の剣」
屋舗先生
推薦入試には一般入試のような厳しさがなく、比較的楽に合格を獲得できるという「おトク感」がありますが、「諸刃の剣」の側面もあるんですよ。一般入試の場合は、学科試験の結果によって合否が決まるという点では、確かに「厳しい制度」と言えるかもしれません。これは裏を返せば「受験生を実力に見合った学校へ振り分ける制度」とも言えます。
一方、推薦入試の場合は、少なからず実力に見合わない学校に入ってしまうというリスクがあります。「推薦入試で受験できるから」という理由で志望校のランクを極端に下げてしまった場合は、入学後に授業が簡単すぎておもしろくない「浮きこぼし」という事態にもなりかねません。A君のような「実力タイプ」が推薦入試で入学した場合は、特に注意が必要です。また、「一般入試では危ないから」という理由で一般入試を避け、推薦入試で受験して合格した場合は、入学後に「授業のレベルが高すぎてついていけない」という事態も想定できます。いわゆる「背伸び受験」と呼ばれる現象です。Bさんのような「内申タイプ」は、特に注意が必要です。
ハヤミズ
3人のタイプのなかでは最も推薦入試に向いているBさんタイプも、入学後に注意することがあるのですね。
受かったその先のゴールを見据え、慎重に考えたい志望校選び
屋舗先生
いずれの場合も、良くも悪くも志望校が実力に「見合っていなかったこと」が問題です。「受かるかどうか」だけでなく「受かってから」のことを考えれば防げることですので、志望校選びの際はこの点を参考に慎重に考えるとよいでしょう。
2020年度より大学の入試制度が変わります。それに伴い入試がどうなるか今の段階ではわかりません。ただし言えることは自分に見合った大学をしっかり選ぼうということです。
基本的に、推薦入試には一般入試のような学力試験がありません。そのため、一見メリットが多いように思えますが、学力試験がないということは、自分の実力に見合っていない大学に入学する可能性もあるのです。自分の実力に見合わない大学へ進学すると、後から様々な問題が発生する可能性があります。そういった問題を防ぐためにも、志望大学選びは慎重に行いましょう。
ハヤミズ
希望の高校に入ることを目的にしてしまうと、入ったあと、こんなはずではなかったとかいうことも起きかねません。お子さんが将来、進んでいきたい、なりたい姿にゴールを見据えていけば、万が一、希望の高校にはいれない場合があったとしても、ぶれずに進んでいけると思います。
(構成・スタッフ風谷)
屋鋪先生、ありがとうございました。
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〒933-0802富山県高岡市蓮花寺西部134-1
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