「親として、これからを生きる子どもが困らないように社会のルールを教えておきたい。」
そう考える親御さんもいると思いますが…その教えようとしているルール、本当に現代社会に対応していますか?
ひょっとして、親が子どもだったころのルールをそのまま押し付けようとしていないでしょうか…?
こんにちは、お子さんにぴったりの学習塾・個別指導塾をご紹介している「塾選び富山」スタッフの稲泉です。
社会の暗黙のルールは刻々と変化しています。
親が「自分のころはこうだったから」と感覚で伝えていては、子どもの人生を邪魔することにもなりかねません。
『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』は、子どもに現代社会を生きるために知っておいた方がいいルールや考え方を教えてくれる本です。
本来の対象年齢は小学校中学年~高学年に向けだと思いますが、今子育てをしている親自身が「自分の考え方って古いのかも?」と振り返る機会にもしたい本です。
『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』の監修者は、「情熱大陸」や「カンブリア宮殿」に出演している「花まる学習会」の設立者高濱正伸(たかはま まさのぶ)氏です。
この本はタイトルの通りに世の中のルールが紹介されているのですが、読書に慣れていない子どもでも読みやすいように、見開き1ページに大きな文字と親しみやすいイラストを使って表現されています(漢字にはフリガナも)。
絵本や漫画のようにパラパラと読めるので、子どもでも短時間で読破することができますよ。
ただ、かなり書いてある内容はシンプルなため(結論のみをズバリと書いてある)、「これってどういうこと?」と考える余地があります。
ぜひルールの意味を親子で話し合い、現実社会でどうやって生かしていけばいいのかを一緒に考えたいですね。
「よのなかは、合わない人だらけ。その荒波を渡っていくことが、生きるということ。自分の意見を伝えながら、相手の言うことも受け止められる、そんなしなやかさを身につけよう。」
「どんな人とも仲良くできる社交的な性格になろう!」そんなふうに教わって育てられた親御さんも少なくないのではないでしょうか。
『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』では、「合わない人だらけ」という表現で、「そもそも人と人が合わないもの」というのを前提にとらえています。
「あの人と合わないのは私が悪いから」と思いがちな優しい子にこそ教えてあげたい言葉です。
「『わかってもらえない』と文句を言っていてもよのなかでは通用しない。相手にわかるように説明して理解してもらう努力をしよう。」
これを読んだとき、もしこの文章を親が子どもに伝えたらキツく響くのではないかと思いました。
要するに「不満を伝えもしないでわかってもらおうなんて、考えが甘い!」ということですが…この話をするタイミングは親子ゲンカの真っ最中だと思われます。
社会の大事なルールですが、なかなか落ち着いて伝えられる機会は少ないのではないでしょうか。
本を利用して子どもに角を立てずに伝えたいですね。
「人は、他人に厳しく、自分にあまくなりやすい。だからこそ、他人を批判したくなったら、まずは自分の行動をしっかりチェックしてみよう。」
子どもに「本を読みなさい」と言う大人にかぎって、実は読書習慣がなかったりします。
大人も子供も、他人に口を出す前に「他人を批判できるほど、自分はちゃんとしているかな?」と振り返りたいですね。
お子さんにこの言葉を言うと「お母さん(お父さん)だってできてないじゃない!」と反論されることもあると思います。
…その際はお互いにがんばりましょう!
「ただあこがれているだけでは、すてきな人には近づけない。すてきな人と胸を張ってつきあえるだけの自分をつくっていこう。」
「『あの人かっこいい!』『あの人と友達になりたい!』と思っても、自分が素敵じゃなかったら、憧れの人に相手にされない」というわけです。
憧れの人と付き合いたかったら、成長して憧れの人に憧れてもらえるような自分にならないといけません。
「自分を成長させなければ素敵な人と友達になれない」という厳しい現実を突きつける、ピリ辛アドバイスですね。
「『時間』は平等にあたえられたもの。使い方しだいで未来を変えることだってできる。だから自分の時間と同じくらい、他人の時間も大切にしなくていけないよ。」
「直接会って話を聞いてもらった方が気持ちを伝わる」「用事があるから○○さんへ電話しよう」。
特に昭和世代の親御さんに、こんな感覚の方はいないでしょうか?
現代では、自分の都合で相手の時間を奪わないよう気をつけることが求められます。
相手の時間を奪わないようにどうしたらいいかな?と連絡する前に考える癖をつけておきたいですね。
本体なら、世の中のルールを教えるのは親であるべきなのもしれません。
しかし現代は、過去とはルールが大きく変わっています。
『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』は完全に子どもに向けて書かれており、親へのメッセージなどは書かれていません。
しかし高濱氏が今この本を書いたのは、過去の価値観そのままの親に育てられて、苦しい思いをしている子どもたちを見てきたからではないでしょうか。
本のオビに「ちょっぴりピリ辛だけど、今のうちにこどもたちに伝えたい本当のこと」と書いてありました。
この本には過去から伝わる優れた価値観を残しつつも、今を生きる子どもが世の中を渡りやすくするための考え方がまとめられています。
ただその中には、私たち親が子どものころ「世の中ってこういうもの」と思ってきたこととは違うことも書かれています。
「自分のときはこうだった」「自分はこの考え方で生きてきたから」と、過去の価値観そのままに子どもを育てていないでしょうか?
本で紹介されている「よのなかルール」のひとつに、「親はカンペキではない」という文言があります。
もはや親の言うことは絶対!という時代は終わりました。
親子で新しい時代の価値観を、柔軟に身に付けていきたいですね。
ーーーーーこの記事を書いたのはーーーーー
稲泉 景子 (いないずみ けいこ)
富山で6歳男児子育て中の主婦。
これから子どもにどんな教育をしていけばいいのかお悩み中。
子育て本や教育本を読むのが好き。趣味はカフェ巡りとラクガキ。
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【参考文献】
高濱正伸,『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』,株式会社日本図書センター,東京,2019年。