ウチのスクールでは小・中学生はシャーペンが禁止です。鉛筆を使ってもらっています。
今どきなんて古臭い、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これにはエンジニアの視線からのきちんとした根拠があります。
シャーペンと鉛筆の一番の違いは、構造が複雑か単純か、という点です。
エンジニアの世界では単純なものほど壊れにくい、故障しにくいということが良く知られています。
試験というは生徒にとって非日常です。緊張もするでしょうし、力むこともあります。そのような状況下で使われる筆記用具というのは、非日常的な使われ方をすることになります。
最近のシャーペンの芯は折れにくくなってきましたが、それでも鉛筆には到底かないません。強さというのは径の3乗に比例します。鉛筆の芯は大体2mmありますので、同じ材質だとすれば0.5mmのシャーペンの芯の64倍の強さがあるということが言えます。鉛筆はそれだけ折れにくいということです。試験でシャーペンの芯がボキボキ折れるということを経験された方も多いと思います。それだけ無意識に力んでいたということです。
またシャーペンには芯詰まりというトラブルがあります。これは物理的構造上、軽減はできるものの100%防ぐことはできません。したがって発生する可能性は必ずあるということです。当然鉛筆にはそのような構造がありませんから、芯詰まりは物理的に起きることはありません。
もう一つシャーペンには芯が空になるというトラブルもあります。これは中にどれだけ芯が入っているかを外から見ることができないため、ついつい入れ忘れてしまうことから発生します。これに対して鉛筆は芯の長さと鉛筆そのものの長さが等しいため、芯が無くなれば鉛筆も無くなるという単純な理由から、このトラブルが発生することもありません。
試験というのは非日常的な空間や雰囲気の中で行われます。特にほとんどの高校受験生にとっては人生で初の選抜試験ということになります。平常心で臨めるというのはほんの一握りの生徒たちだけです。このような環境下でひとたび筆記用具にトラブルが起きると、ただでさえ焦っている気持ちを更に焦らせることにつながります。どんどん平常心から遠ざかるわけです。
鉛筆でも芯折れがあるという批判をされる方もいると思います。その通りです。しかしその時の対応の仕方が鉛筆を使う生徒とシャーペンを使う生徒では根本的に違います。鉛筆はそれ1本だけで試験に臨むという生徒はほとんどいません。すなわち他の鉛筆に持ち替えるだけですぐに問題に取りかかることができますが、シャーペンを使う生徒はほとんどがそれ1本で試験に臨むことが分かっています。そのため芯が折れれば芯が出てくるまでノックをするという工程を必要とします。このわずかな差が精神的な乱れを生むのです。
そのようなことから、学研CAIスクール富山本部校では少しでも試験での不要なトラブルを原因とする集中力の乱れを防ぐため、普段より鉛筆を使用させているのです。
ちなみに鉛筆はある程度良いものを使うことをお勧めします。安い鉛筆はやはり折れやすく、減りが早いです。高級鉛筆と呼ばれるものは折れにくく、芯の減りも少ないため、長く集中して書くことができます。
トンボ鉛筆のMONO、三菱鉛筆のUNIは設計図を書くプロでも使用している鉛筆です。もっと良いものではトンボ鉛筆のMONO100、三菱鉛筆のHi-UNIという素晴らしい鉛筆もあります。このクラスだと硬さにもよりますが、極端に言えば5教科を1本でカバーできてしまうくらい減りが少ないのを実感できると思います。
確かに1本100円くらいと、安い鉛筆の3本分くらいありますが、5本でも500円です。スタバのフラペチーノ1杯分で試験に安心して望めるのであれば、安い買い物と言えるではないでしょうか。