ウチのスクールって、模擬テストで150点近くとる生徒が実業系の高校を選ぶことがよくあるんですよ。
学校の先生も「もったいない」っていうそうです。そりゃそうですよね。それなりの名前の通った普通科の高校に入れるだけの点数を取っているんですから。通知表もオール4以上ですし。
今年もそんな生徒が2人いますね。
だけどウチのスクールは違うんです。自分が行ける高校じゃなくて「自分が行きたい高校に行け」って言っています。
ですから学年トップレベルで私立専願をする生徒もいます。その高校に魅力を感じたそうで、それならそれでいいじゃん、と言って背中を押します。
そのかわり「その高校でテッペン取り続けてこい」とは言いますよ。「それもぶっちぎりで」と付け加えて。
実際に実業系の高校に進んでトップ取り続けた生徒が、ちゃっちゃと有名私大に推薦で進学しましたからね。そこって進学校でもなかなか入れない大学ですよ。
だって本人が進みたいって言っているのに、もったいない、っていう理由で、本人が進みたいわけでもない高校に進ませるのって、単なる大人のエゴじゃないですか。
「子どもの将来のため」っていうのがその最たるものですね。じゃあ、大人が選んだ高校に進んだ生徒に輝かしい未来が確約されているのか、というと、とんでもないですよね。以前某カーメーカーの研究所で新車のエンジンの開発していたことがありますけど、超有名大学の大学院卒で「なんじゃこりゃ」みたいな人を何人も見ていますから。
今日も保護者の方との面談で話をしていました。今の子供たちが大人になったら学び直しができる社会になっていますよ、って。
大学だって別に高校からストレートで行く必要なんてないんですよ。いったん就職して必要と思ったら大学に行けばいいんです。
これから仕事の多様性がさらに要求されます。人材不足もさらに深刻になります。
会社も単なる学歴だけではなく、しっかりとした価値観や考え方を持つ人材を求めるようになります。ストレートに大学出たからと言って、それらをしっかり身に着けられるかというと必ずしもそうではないですよね。むしろ寄り道した人のほうがしっかりしていたりします。特に今の若い人にはそれを強く感じますね。
トヨタの豊田社長も「終身雇用は守れない」と明言していますよね。終身雇用どころか、年功序列制賃金制度なんて崩壊寸前です。
今、日本のあちこちで働く環境が、音を立てて変わっているんですよ。ご存じないかもしれませんが、ここ富山でさえ、日本語より他の国の言葉のほうがよく聞こえるという働き場があちこちにあります。
結局、物質的に幸せな生活を送るには給料が高くないといけない→高い給料をもらうには一流の会社に入らなければいけない→一流の会社に入るには一流の大学を卒業しなければいけない→一流の大学に入学するには一流の高校に入らなければいけない、という流れが成り立っていたころはそれでよかったんです。高度成長期のころですね。
今は一流の会社に入社したからといって、幸せな生活はいっさい保障されていないんですよ。それなのに昔の高度成長期のロジックで子供の高校を選んでしまうんですね。
そう考えると、高校は子供が行きたいというところを選ばせるというのが一番です。
そしてそこでテッペンを取り続けられるよう、考える力を身に着けさせる。そのために中学校の間に勉強の仕方を身に着けさせる、っていうのが、正しい受験勉強の仕方じゃないかなと思っています。