いよいよAI(人工知能)が学校教育や学習塾に導入されようとしています。
ご存じかと思いますが、日本の教育AIで一番進んでいるのが、私ども学研グループです。
当スクールでは、この冬からの全面導入開始を目指して、現在その準備に取り掛かっています。すでに現物を確認して、素晴らしく学習効果の高いツールであることが分かっています。手前みそながら「さすが学研グループ」と唸らされるものです。
AI(人工知能)を用いた学習の仕組みを簡単に説明します。
まず、AIの強みは「多くのパターンから最適なものを選ぶ」というところにあります。蓄積したパターンが多ければ多いほど、最適な選択の精度は上がります(AIは蓄積データが決め手になります。このため学研では数年前より学研CAIスクールだけでなく学研グループに所属する全国の学習塾から膨大な量のデータを集めています)。
今、AIで注目を浴びているのは何といっても将棋だと思います。理屈は単純です。対局のデータをコンピュータに入れ、そのデータを分析して、その時点で最も勝ちにつながりやすい手を見つけるものです。ということはその元となるデータに該当しない状況ではコンピュータは判断ができません。逆にデータが多ければ多いほど、その勝ちにつながる「手」を見つける精度は飛躍的に高まります。
これを学習指導に当てはめると、こうなります。
仮にある生徒が中2で習う連立方程式の計算ができないとします。
AIは、その間違え方をとらえ、過去の膨大な蓄積データから、その生徒が必要とするものを提示します。例えば人工知能が連立方程式を理解する以前に必要な中1で習う方程式を解く力が不足していると判断した場合は「ではここを先にやりましょう」と、中1の方程式の問題を出してきます。
すなわち生徒自身が気付かない弱点をAIが見つけて、さらに一番最適な学習単元を教えてくれるわけです。
所詮コンピューターと思わないでください。棋士の羽生善治九段によれば、今の将棋界ではほとんどの棋士がAIを導入した将棋ソフトを使って研究されているそうです。言い換えればほとんどの棋士はAIを利用しないと勝てなくなっているということです。それほどまでAIは進化しています。
生徒の弱点を的確に見つけて、それを補う問題を出すAIは、今後学習塾業界にどんどん導入されるとおもいますし、これが主流になります。
これは多くの学習塾が点数を上げるために存在している以上、当たり前の流れになります。将棋界と同じで、AIを導入しない学習塾は今後勝負に勝てないのではないでしょうか。先ほども申しましたように、AIはデータの数で勝負が決まります。学習塾は何万とありますが、おそらく使用するAIツールはたった数社になるでしょう。したがって、塾の看板は違えども、実は中身は同じ、ということになると思います(こはすでに起きていることで、学習塾で使用している問題集を出版しているのは数社しかないので、多くの学習塾で同じ教材を使っています)。
そこで学研CAIスクール富山本部校です。現時点で日本で最強の学研のAIを導入するわけですが、実はこのAIにさせようとしていることは、もう10年前からやっています。AI?いまさら?というのが私どもの認識です。
ではどうしてAIを導入するかというと、我々がすべきことがAIの先に向いているからです。今私どもスタッフがやっていることをAIに任せて、AIができないことをやろうとしているためです。
そして、それはもう3年前に分かっています。このことの実証実験をするためにAIを導入するわけです。
考えてみてください。社会人が仕事をするうえで、過去のことに対して仕事をすることなんかないですよね。常に、まだ誰もわからない、答えのないことに向かってするのが仕事です。すでに分かっていることをするのは作業です。仕事はお金を生みますが、作業はお金を生みません。
勉強も同じです。すでに何百年も前にわかっていることをテスト問題にしてその解き方を覚えるのが、今の学校教育の現状です。
たしかにそれらが基礎知識として必要なことは理解しますが、その解法テクニックを上げることがどれだけ仕事で要求されることにつながるのでしょうか。それら解法テクニックは手法であり、目的ではないはずです。なぜなら教育は進学ではなく、社会のために施されるべきものだからです。
AIの限界はここにあります。膨大なデータがものをいうということは、所詮過去のことしかできないわけです。羽生九段はこう言っています。
「AIは先の流れを読んで指すようなことはありません。」
学研CAIスクール富山本部校は、もうすでにAIの先を考えて動き出しています。
点数や進学だけの学習塾は、もう10年もすればほぼその役割を終えるでしょう。私どもはその先にある、「子供たちに社会に出てから必要とされる教育を施す教育塾」として、もうそのスタートを切っているのです。