よく理科のテストで手順を問う問題を見かけます。
一般的には点数を取るためにその手順を覚えます。
しかしそれでは何のための勉強か分かりません。
学校としては、これは教育として
重要でかつ必要なことと認識したうえで
その手順を教えています。
テストに出すのは、点数ではなく、
教育として必要なことなので、
正しく身についているかを
試しているにすぎません。
これを「この問題はよく出るから」とか
「テストではこう答えろ」などと
教えてしまうと、せっかく学校が
正しく教育しているのを、
点数のための勉強に捻じ曲げることになります。
これは本来あってはいけないことです。
なぜなら、教育は社会のために施されるものであって
点数や進学のためではないからです。
先日の理科の実験の授業で
生徒が正しい手順で実験を行わなかったため、
生徒の手に薬品がつくことがありました。
薬品といっても全く無害な食塩水だったので
水で洗っておしまいだったのですが、
これが有害な薬品だと
やけどになったり、皮膚がただれたりなど
大きな問題になります。
手順を守るというのは、
自分自身の身を守ること、というのが
理科教育における考え方です。
自分自身の身を守るために
手順の重要性を教育しているわけです。
社会に出て、機械を扱う仕事に就いたとき
手順を守らなければ命に係わる事故になる
可能性があります。
ちょっと切り傷をしたというのであれば
さほど問題にはならないでしょう。
しかし手順を守らなかったばかりに
機械に巻き込まれて指を切断してしまった人や
手首から先を潰してしまった人を
私は実際に何人も見てきました。
事故はやってしまってからでは遅いのです。
このように、学校が施している教育というものが
正しく社会につながるようにすることは
大変大事なことであり、
その一方で、その教育の本来の目的を
点数や進学というものに
捻じ曲げるものがあるとすれば
それは強く制限されるべきと、
塾の講師をしながら、公立中学校でも
講師として理科を教える立場の者として
強く思うのです。