昨今の特に情報技術の進歩は、
想像を絶するものがあります。
学校教育現場にもタブレット端末が導入され、
ICTは子供たちの勉強にも
深く入り込んできています。
では、このようなICTが、
子供たちの理解を劇的に変えるのか、
といえば、答えはNOです。
もう少し詳しく言えば、
ICTは理解を助けるには大きな効果がありますが、
理解の定着にはあまり効果があるとは言えません。
これはICTを活用した学習を
もう10年以上やっている
当スクールのこれまでの経験から言えることです。
では、なぜICTを活用した学習が
理解に定着につながらないか、ということですが、
これは、理解する側の人間の脳が、
少なくともここ1万年は
ほとんど進化していないということが
理由の一つと考えられます。
どれだけICTが発達しても
脳が記憶や理解する仕組みまで
変えることはできないからです。
ということは、勉強は
人間の脳が理解・記憶しやすい方法で
行う必要があると考えられます。
ここでは分かりやすくザックリと説明します。
脳は神経細胞の塊です。
理解や記憶は、この脳の
神経細胞同士のつながりで行われます。
細胞同士がつながることで、記憶したり
理解したりするということになります。
逆に、この細胞同士のつながりが
ほどけることもあります。
これは「忘れる」ということを意味しています。
脳細胞は、あまり情報が多いとパンクしてしまうので、
脳があまり重要ではない、と判断した情報は
脳自身で細胞同士の結びつきをほどいて、
忘れようとします。
これは脳が脳自身を守るために、
自然に行われています。
ということは、勉強したことを
しっかりと覚えたり、理解するためには、
この脳細胞の結びつきをしっかりと
行えばよいわけです。
それには、脳細胞同士を
しっかりと結びつける勉強の仕方と
繰り返して勉強するという、
2つのことが大切になります。
脳には身体のいろいろな部分から
情報が入ってきます。
その情報は電気信号で伝わります。
そして、脳はその電気信号の強さによって、
細胞同士を強く結んだり、
弱く結んだりします。
ということは、脳に強い電気信号を
与えれば、結びつきが強くなり、
より理解や記憶が深まることになります。
勉強に関して脳に届く情報は、
主に目、耳、自分の声、指先からの情報です。
読む、聞く、話す、書く(調べる)です。
この4つを比べると、
なんと、脳に伝わる信号の強さが異なります。
目から入った情報、耳から入った情報は
刺激が強そうですが、脳に届く刺激としては
弱いということが分かっています。
これに対して、自分の声や指先からの
情報は、強い刺激として脳に届きます。
ということは、読む、聞く、だけの勉強は
記憶や理解につながりにくい、
ということになります。
それに対して、書く(辞書で調べる)、
声に出して読む、という勉強は
脳に強い信号が届くため、
記憶や理解につながるということが
言えます。
この見方から言えば、
勉強へのデジタル教材の行き過ぎた導入は
深い理解や記憶につながりにくい、
ということができます。
これは以前お伝えした、
OECDが実施している全世界レベルの
学力調査(PISA)で、
学校教育現場へのデジタル教材が
進むほど、学力が落ちるという
結果が報告されていることと、
決して無縁ではないと思います。
学研CAIスクール富山本部校は、
このことを開校した2010年時点で
すでに読み解いていました。
ですから富山で最も早くデジタル教材を
取り入れた学習を行った学習塾の一つでありながら、
生徒が座る机の上には5冊以上の辞書が並び、
常にノートを使いながら勉強をするという
一見デジタル時代にあるまじき
古臭いように見える学習法を
ずっと続けてきたわけです。
このデジタルとアナログを取り混ぜた
学習法に関しては、
すでに11年以上の実績があります。
このように学研CAIスクール富山本部校は
流行に流されることなく、
子供たちの学習指導に、科学的見地からも
考えた指導法を行っています。