保護者の方々との面談で
「どうして今の中学校って、順位や
偏差値をださないんですか?」
と、よく聞かれます。
結論から言えば、事実上禁止されて
いるからです。
平成5年2月に文部科学省より、
全国の教育委員会と知事あてに
以下の通知が出ています。
(文初高第243号)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kaikaku/04120702/001.htm
(1)高等学校の入学者選抜は公教育として
ふさわしい適切な資料に基づいて行われる
べきものであり,業者テストの結果を
資料として用いた入学者の選抜が行われる
ことがあってはならないこと。
また,中学校における進路指導は日ごろの
学習成績や活動の状況等による生徒の
能力・適性,興味・関心等に基づき
総合的に行われるべきものであり,
業者テストによる偏差値等に依存した
進路指導は行わないこと。
(2)入学者選抜に関し一切,中学校に
あっては,業者テストの結果を高等学校に
提供しないよう,また,高等学校にあっては,
業者テストや学習塾の実施するテストの
偏差値の提供を中学校に求めないよう,
平成6年度入学者選抜から直ちに改善すること。
さらに,高等学校は,業者テストの実施者は
もとより,学習塾に対しても資料の提供を
求めたり,保護者や生徒から業者テストの
偏差値等を求めたりするようなことも
あってはならず,併せて直ちに改善すること。
(3)中学校は業者テストの実施に
関与することは厳に慎むべきであり,
授業時間中及び教職員の勤務時間中に
業者テストを実施してはならないし,
また,教職員は業者テストの費用の
徴収や監督,問題作成や採点に
携わることがあってはならないこと。
そのため,学校の管理運営及び教職員の
服務の適正が図られるよう直ちに
改善すること。
また,業者テストの偏差値等に依存して,
中学校において生徒の適性や希望などを
無視して生徒が志望する高等学校を
受験させないよう指導したりすることが
ないよう,直ちに改善すること。
ではどうして学習塾は偏差値を
出せるのか、ということですが、
学習塾は文部科学省管轄では
ないので、文部科学省の通知は
適用にならないからです。
(学習塾はスーパーや飲食店と同じ
経済産業省管轄のサービス業という
位置付けです。)
このため学習塾は業者テストを活用して
偏差値を進路指導に用いていますが、
この偏差値による判断については
1点注意が必要です。
それは判定のもう一つの基準である
内申点は、偏差値では判断できない、
ということと、
偏差値は統計学的に基づいた
目安に過ぎず、
絶対的なものではない、
ということです。
そして何より大事なのは、
高校のランクというのは
生徒の偏差値のランクではなく、
授業のレベルのランクである
ということです。