有名大学至上主義や
偏差値至上主義というのは
突き詰めると
終身雇用制度と
年功序列型賃金制度の
2つの制度の存在に
行き着くと考えています。
物質的に豊かな生活を求めると
給与は高くなくてはいけません。
高い給与をもらうには
有名企業に入るのが確実です。
そして有名企業に入るには
有名大学を卒業する方が良い、
という論です。
実際に以前は
有名大学に入学して
有名企業に入社すれば
定年まで物質的に豊かな生活は
ほぼ保障されました。
そしてこの流れが
長い間実際に機能した結果、
有名大学に入学するための
受験戦争が激化し、
偏差値というものが導入され
偏差値至上主義が起こりました。
つい先日、日本を代表する
カーメーカーのN社が
全世界で2万人の従業員を削減すると
発表しました。
衝撃だったのは
日本もその対象に含まれている
という点です。
まだ詳細は発表されてはいませんが
日本にある工場を
一つでも閉鎖すれば
数千人という従業員が
職を失うことになります。
また「企業は社会の公器」を
経営理念としている
電器産業最大手のP社も
先日1万人の削減を発表しました。
もはや有名企業に入れば
定年まで豊かな生活が
保障されるということは無い
世の中になりつつあります。
実は私自身も
リストラで会社を辞めた人間の
一人です。
私の場合は早期退職制度に
応募しての退職でしたが、
その後に追加で行われた
数回のリストラでは
表面上は早期退職制度なものの
中身は事実上の
「肩たたき」だったそうです。
私は
以前から学習塾をやりたかったので
会社がリストラを行う前から
必要な知識や技術を身に付けて
準備をしていましたが
リストラの多くのケースでは
その準備をせず、
もしくは準備が間に合わないまま
退職を迫られるのが現実です。
私はそのような方々を
何人も見てきました。
というのは、
最初の早期退職制度で退職した私に
アドバイスを求めてくる方が
それだけいたわけです。
この中で、
アドバイスを求めてくる方の
全員が
普段から「考える」ということを
していないということが
分かりました。
ただ「どうしよう」と
オドオドするばかりです。
逆にさっさと転職して
要職に就いた人も見ています。
そして
そのような方は全員
普段から社会の情勢に
常にアンテナを立てて
自分自身に必要なものを
積極的に身に付ける
ということを行っていたことも
分かりました。
常に考えていたからこそ、
有事に機敏な対処が
できたわけです。
結局はこの違いこそが
これからの世の中で
生き残るために
必要なことなんですね。
常に考える努力をしている人は
生き延びるどころか
さらに成長することができ、
考えることを放棄した人は
生き延びるのが
難しくなるわけです。
そしてこれが
ますます激しくなるのは
今の日本の国力を考えると
100%確実でしょう。
私は学校での講演などでも
「考えるためには、
自分で調べて、
自分でまとめることが必要」
「これを教科指導を通して
身に付けるのが教育であって、
教育は進学や点数のために
行われるものではない」
と常に話をしています。
ICTを活用した学習指導が特徴である
私のスクールで
紙の辞書を使わせて
鉛筆でノートにまとめさせて
問題に取り組ませるという
極めてアナログな学習指導を
ずっと続けているのは
結局はこの勉強方法が
物事を深く考える上で
絶対的に必要なスキルであり
絶対的な前提であることを
私自身が
過去のリストラ経験を通して
身体の芯まで
理解しているからなのです。