「ねえー、先生聞いて」
「どうしたん？」
「この前、模試あったんよ」
「うん、それで」
「自己採点で51点だったん」
「そうか」
「でね、聞いてよ」
「うん、聞いてるよ」
「ミスしたん。それが正解していたら72点なんよ」
「う～ん、頑張ったんだね。どんなミスしたん？」
「計算ミスとか、意味は解っていたのに勘違いした
ことがあったの、わたし、実力付いたのかな。」
「どうかな。ミスも”実力のうち”ともいうからね」
「どういう意味？」
「ちょっと厳しい方になるけどいいかい。
実力というのは、今その人が持っている力なんよ。
運がとっても良ければ、本番でミスなしに72点と
なるかも知れないけど、それは難しいよね。
つまり、本番で絶対にミスしないなんてことは
ないわけだから、今の実力は51点と考えることが
大事なんよ。」
「うん」（ちょっと不満気）
「今、大事なのはね、どうしたらミスしない自分
になれるかだね。たとえば、本番を想定し時間を
決めて練習をしたり、その答え合わせでは、とく
に厳しく行い、あいまいさは許さないようにね。
どんな間違い方をしたか知ることも大事だね。
もしできなかった問題があったなら、知識不足だ
から、そこをピンポイントに練習する。
塾で、そこの問題を出してもらうのもいいよね。
ミスをしたときは、ここが大事なんだけど、どん
なミスなのかをしっかりつかむことが大事だよ。
たとえば、計算ミスのときは、昔いたんだけど、
掛け算のある段になると間違えたり、特定の繰り
上げ繰り下がりで間違っている生徒もいたよ。
もっと言うと、ちょっと勘違いしただけだから、
もっと落ち着いていたら”できていたはず”だから
と、これも"ミス"としていた生徒もいたよ。」
「そうなんだ、もう一度試験を見直してみるわ」
「それがいいね。もし良ければ、こんど試験を持っ
てこない？ そして、いっしょに見てみようよ。」
「わかった。そうする。先生お願いね。」
「了解しましたよ。」
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