国公立大学と私立大学についての入試事情を、大学入試センター試験を中心に据えて語ってみたいと思います。センター試験が、いかに重要な位置になっているかがお分かりいただけると思います。(簡単にと思っていましたが、少し長くなってしまいました。お許しください。)
国公立大学の一般入試では、センター試験と個別学力検査(いわゆる2次試験)の合計点によって合格者が決められます。しかし、センター試験と個別学力検査の配点比率は大学によって、学部学科によって大きく異なります。なかには、富山大学の理・工・都市デのように、センター重視・個別重視の2種類の募集区分を同時に設けている大学もあります。
一般的には、難関の国公立大学ほど、個別学力検査が重視されています。
例えば、東京大学の前期日程ではセンター試験と個別学力検査の配点比率は1:4であり、京都大学工・医学部では、センター試験は第一段階選抜のみにしか利用されません。従って合否は、個別学力検査の得点でのみ決定します。
さらに、一部の医学部においては、センター試験の成績が一定の基準に満たない志願者を不合格とする二段階選抜が行われることがあります。
私立大学の一般入試は、大学入試センター試験直後の1月下旬頃から3月上旬頃までに実施されています。
特に国公立大学と異なるのは、学部・学科を違えての学内併願が自由にできることです。
また、同一学部・学科でさえ、複数回入試が行われる大学が多くなっている点です。そのすべてを受験することもできます。(チャンスが増えるわけです。)
例えば、1月後半~2月前半に1回目、2月中旬~下旬に2回目、3月に3回目という大学等も増えています。
名称は大学によって、「A方式」「AS方式」「B方式」「C方式」「前期」「中期」「後期」などなど、様々な大学固有での呼び名になりますので要注意です。
また、一般入試以外にも、センター試験利用入試と呼ばれる制度もあります。
この入試は、センター試験の結果のみにより、(大学によっては、センター試験の結果と国公立大学の2次試験に相当する大学別個別試験の総合結果により)合否を決めます。国公立大志望で私大併願を考えている受験生には便利です。
近年、急速に、私立大学・短期大学での入試でのセンター利用は増加しています。最近では、私立の大学の8割以上で、何らかの形で、センター試験を利用しています。
私大におけるセンター試験科目数は2~3科目が多く、一般入試で課される科目数とほぼ同じ傾向がみられます。
また、センター試験利用入試の場合、合格定員は大学の学部学科全体の数%~10%前後が多く、一般入試に比べて少ないのが特徴的です。その分、大学独自の一般入試試験における合格ボーダーに比べ高いものになります。
以上のような結果、現状のセンター試験は、私立大学の利用の増加により、国公立大学志望者だけでなく私立大学志望者にとっても重要な位置を占めています。もちろん、国公立大学志望者にとっては、志望校合格への第一関門であることには違いありません。
2020年から実施される、大学入学希望者学力評価テストにおいても、名称や出題内容の変化・工夫はあるものの、上記で述べたことの大きな変更はないものと思われます。