生徒に、「本を読もうよ」といつも言っている手前、
その”証拠”(?)を示さねばとの思いもあって、
「読んで良かったな」と思った本を紹介していきます。
的外れな紹介が時にはありましても、率先垂範(?)の
意気込みを買っていただいて、どうぞご容赦ください。
今回紹介するのは
「日本の歴史をよみなおす(全)」
(網野善彦著 ちくま学芸文庫2005刊)
これまであまり語られることがなかった日本中世の
多彩な横顔をいきいきと解りやすく話しかけるように
語っています。
ロングセラーになるのもなるほどと思う本です。
著者は残念なことに2004年に亡くなられています。
問いの中心は、これまでの歴史観への挑戦です。
「(日本)文化を支えているのは水田を中心とした
農業であり、日本の文化は、弥生文化が日本列島
に入ってからは、江戸時代まで基本的に農業社会
であり、産業社会になるのは明治以後であるとい
う捉え方が正しいのか」というものです。
そして、「そこを見直し日本の社会について考え直し
てみたい」と続きます。
最も印象に残ったのは”百姓”についての記述です。
(400ページの本を読んだわりには「そこかよ」
という突込みが聞こえますが。)
これまでの私は、百姓=農民と完全に同一視でしたが、
どうもそれは、これまでの歴史観で刷り込まれてきた
考えのようで、著者は次のように語ります。
”百姓は決して農民と同義ではなく、たくさんの
非農業民 ー 農業以外の生業に主としてたずさわる
人びと ー を含んでおり、そのことを考慮に入れると、
これまでの常識とは全く違った社会の実態が浮か
び上がる”と述べます。
そして、実証的に奥能登の時国家を考察する中で、
奥能登は遅れた後進地域ではなく、回船商人たちが活
躍するとても豊かな土地ではなかったかと語ります。
このことは、奥能登だけでなく日本全土に及んでいた
のではないか。そうすると日本列島の社会は、農民が
人口の圧倒的多数を占める農業社会であったという常
識が、覆るのでないかといいます。
ほかにも、商工業者や芸能民はどうして賤視されるよ
うになっていったのか。女性の地位の低下はいつごろ
から生じたのか。なぜ日本という国名なのか。
天皇はどのようにして誕生してきたのか。
などなど、とても興味深い内容が続きます。
著者は、日本中世(12世紀~14世紀)に新しい光をあ
て、現代社会の祖型を形づくった、文明史的大転換期
が中世ではないか。そして、従来の農村を中心とした
均質な日本社会像は見直ししなければいけないのでは
ないか、と述べています。
いろいろ批判もあると聞きますが、読後の思いとして
これまで習ってきた中高での歴史観との違いに戸惑い
つつも、大きな夢を見させていただいた気がします。
また、著者の若者に期待する熱き思いの文章も多く、
一層熱くなって読み終えました。
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