最近読んだ本です。
「それでも、日本人は「戦争」選んだ」
（加藤陽子著 新潮文庫 平成28年7月刊)
私立中高生を対象に、近代日本の戦争、「日清戦争」
「日露戦争」「第1次世界大戦」「太平洋戦争」の歴史
の授業が行われました。この本は、5日間の歴史の授業
を書き起こしたものです。
著者は日本近現代史の東大の先生です。
一言で言えば、とっても面白い本でした。歴史は苦手
でもあり、書かれていることに知らないことが多く、
久しぶりに、ワクワクどきどきしながらページをめく
りました。
授業を受けた生徒の感想が、記されています。
「太平洋戦争については、日本がなぜあんな可能性
のない戦争をしたのか、これまで当時の人達の感
覚が全く分からなかったけれど、今回、いろんな
データを知ることで「この時点の世界の動きを切
り取ればこんなふう見えるんだ」とか思ったし、
いろんな人の考えや文章に触れて、少しだけかつ
ての人の感覚がわかった気がした」
著者があとがきで述べていることを転記します。
「現在の社会状況に対して判断を下すとき、あるい
は未来を予想するとき、無意識に過去の事例を思
い出し、それとの対比を行っています。その際、
そこで想起され対比される歴史的な事例をどれだ
け豊かに頭のなかに蓄積できているか、これが決
定的に重要です。・・・戦争の歴史を、中高生な
どの年齢が若い世代に、中高年などの気持ちが若
い世代に、ますます広く知ってもらう必要がある
と感じる」
著者は、歴史家の本分について「ただ、過去を正確に
描くことでより良き未来の創造に加担する」ことだと
述べています。
この本により、そうせざるを得なかった「かつての人
の感覚」を、出来事をていねいに掘り起こす中で、少
し追体験させてもらったと思います。そして、過去の
人たちのその気持ちを、ちょっとは共有できたかも知
れないと思いました。
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