【言葉のサプリメント】では、毎日、家事や仕事、子育てをがんばる富山の小学生、中学生、高校生のお母さま、お父さまに向けて、ちょっと元気になれる言葉を、いろいろなジャンルの本などから、紹介してまいりたいと思います。「言葉のサプリ」をヒントに、日々を元気に、お子さんとハッピーに、過ごしてまいりましょう!
「番町小学校、麹町中学校、日比谷高校、東京大学」といえば、東京の国公立の名門コースですが、本書はその麹町中学校に校長として着任された工藤先生が、子ども達への教育の原点である「社会のなかでよりよく生きていけるようにする」という目的に立ち返り、今まで多くの学校で「当たり前」とされてきた様々なことに見直しを続け学校内外の多くの協力を仰ぎ、新しい学校教育を創造していく軌跡を綴ったものです。
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本書は、ズバリ、こんな方にオススメです!
□わが子の思考力を高めたい。
□こどもの自立心を養いたい。
□変化する時代の最先端の教育を知りたい。
□こどものリーダーシップマインドを育てたい。
□人の役に立つアイデアを考え、実行する秘訣を知りたい。
□こどもの可能性を伸ばしてあげるには。
□暮らしのなかの「あたりまえ」を見直したい。
□賢くなる、ノートや手帳の活用方法とは?
□トラブルから学べる考え方とは。
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工藤先生が実践された「宿題がない」「中間・期末テストもない」などの数々の改革事例は、ぜひ本書を手にとり直接触れていただくとして、【言葉のサプリメント】では、先生の数々の言葉から一部を紹介させていただこうと思います。お仕事の発想のヒントや、ご家庭でのコミュニケーションの一助になれば幸いです。
工藤勇一著 学校の「当たり前」をやめた。時事通信社
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工藤先生には、教育について、いくつかの基本的な考え方がありました。ここでは
●目的と手段を取り違えないこと
●最上位の目標を忘れないこと
●自律のための教育を大切にすること
の3点について、先生の語録とともに内容をお伝えしていきますね。
●目的と手段を取り違えないこと
そもそも学校というところは、「子どもたちが、社会のなかでよりよく生きていけるようにする」ためにあるものです。けれども、本来の目的から離れてしまって、ただ規則を守らせるだけだったり、学習をこなすだけになっていたり、「手段が目的化」していることが多いのではないでしょうか。大切なのは、固定観念にとらわれず、何のために行うのか考え、最適な手段を構築していくことです。
~と、本書のなかで工藤先生は述べています。
「学校は来ることが目的じゃない。大人になること、社会に出ることのほうがもっと大事だよ。君が囲碁の世界で生きていきたいと本気で思うなら、別に学校に来なくたって構わない。後悔だけはしないようにね。」
プロ棋士をめざしながら、学校を休みたい気持ちにためらう生徒に向けての言葉です。思考はロジカルでシャープですが、言葉は生徒の目線にたって、やわらかいですね。校長先生に励まされて、お子さんはどんなに心強かったことでしょうか。
●最上位の目標を忘れないこと
麹町中学校の掲げる最上位の教育目標とは「世の中まんざらでもない!大人って結構素敵だ!」ということを教えることだそうです。素敵な目標ですね。大人になることへの憧れや期待を感じることで、子ども自身も健全に成長していくものなのですね。
また、教員のあいだで「叱るものさし(指導の優先順位)」を考える研修を行い、すべて同等な叱り方をするのではなく、命や犯罪、人の心を傷つける差別や暴力について最も強く叱るべきと、学校全体で共有を図ったそうです。叱ることに限らず、「最も重要なのは何か」「何を優先すべきか」ということを意識していく姿勢は、生徒どうしの話し合いや学校での指導でも大切にされているそうです。
これらの教育の先には、麹町中学校が育てたい生徒像があります。では、どんな生徒像が掲げられているのでしょうか。
麹町中学校のめざす生徒像とは?
A 言語や情報を使いこなす能力
①さまざまな場面で、言葉や技能を使いこなす
②信頼できる知識や情報を収集し、有効に活用する
知識・技能そのものの価値よりも、対人や対社会の中で相互に使う力が問われる。
B 自分をコントロールする能力
①感情をコントロールする
②見通しをもって計画的に行動する
③ルールを踏まえて建設的に主張する
C 多様な集団のなかで協働できる能力
⑥他者の立場で物事を考える
⑦目標を達成するために他者と協働する
⑧意見の対立や理解の相違を解決する
どれも具体的ですね。「子どもたちが、社会のなかでよりよく生きていけるようにする」ため、今の時代に必要なことが愛情深く考えられています。
ちなみに、「書く力」「読む力」は、学力の基本ですが、工藤先生は、読み手を想像するなどの「他者意識」があってこそ、「伝わる」文章を書くことができるようになるとおっしゃっています。「めざす生徒像」の「多様な集団のなかで協働できる能力」「他者の立場で物事を考える」という教育内容と、基礎的学力が見事にリンクしていますね。
●自律のための教育を大切にする
では3番目の「自律のための教育を大切にする」を実践している一例をご紹介しましょう。麹町中学校の生徒は、あらかじめノートにフレーム(枠)を作って、授業に臨んでいます。
フレーム(枠)は、普通の大学ノート見開きに、左のページに(1)「ねらい」「結論」(2)「板書」、右のページに(3)気づき(4)まとめ(5)要約と、項目ごとに分かれています。生徒が授業を受けて気づいたこと、疑問に思ったことを、このフレームに書き込んでいくことで、思考が整理されて、生徒ひとりひとりオリジナルの参考書ができあがります。
このようにノートにフレームを作ることで、受け身になりがちな講義型の授業を、主体的に変えることができたそうです。本書に「自律的に活動する」力は、一方通行の講義形式の授業だけでは身につけることができませんとありましたが、生徒が自然に主体的にとりくめるように、学校環境の随所で工夫されていると感じました。
個人的に、最も印象的だった言葉は、「現代社会においては、特定分野の技能を磨き続けることが、その人の可能性を広げることにつながるのです」という一文です。専門分野、スぺシャリスト、芸術やスポーツなど、一芸に秀でるまでのたゆまぬ努力や工夫が、人間性や能力を開花させていくという意味でしょうか。大人になっても生涯、自分を磨き続けることは、人生の可能性を広げていくことにもなりますね。AIの時代だからこそ、相互の学びあいや、人とつながる力を喚起できる教育が求められているのだと思いました。
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(written by スタッフ風谷)