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【高校生向け】教育情報・大学受験など

【教えて先生】何のために勉強するの?~vol.6

 

「教えて先生!」は、子育てや学習などの悩みや質問を、塾選びアドバイザーの早水(ハヤミズ)が、保護者やお子さんに代わって富山県内の有志のベテラン先生に相談、解決のヒントをお答えいただくコーナーです。

 

 

 

早いもので、今年もあと数日となりました。今年最後の「教えて先生」は、年の瀬にふさわしく大きなテーマについて考えてみたいと思います。では、お悩みのご紹介です。

 

 

 

何のために勉強するの?

 

 

 

今回は、学試舎の薬師先生から、ご寄稿をいただきましたので、ご紹介したいと思います。先生!どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

「学試舎」代表

薬師 茂喜(やくし しげき)先生 

大学受験英語・中学生5教科・小学生クラス担当

転んだらまた立ち上がればいい。人生は、何度でもやり直せる。立ちあがった時がスタート地点だ。俺の歩いている道の後ろから、無数の若者がついてきている。みんな仲間だ!

 

 

 

 

薬師先生

 

「何のために勉強するのか?」この問いかけに頭を悩ますご両親は多いだろう。子どもたちにとっても、やはり深刻な悩みだろう。

 

 

「生きる」ことと「生活する」ことが一致しない現代だから、このような悩みが生じるために、知識が必要であった。大昔であれば、獣から身を守るために、大人は子どもに武器の作り方を教える。子どもは、真剣に大人の話を聞く。さもなければ、獣に襲われ死んでしまう。ここに「勉強」に対する違和感はない。勉強しなければ生きていけないからだ。

 

 

 今、分かり易くするために、大昔という極論を使ったが、そんな時代に遡らなくても、私たち、今の大人が子どもの頃でもそうだった。例えば台風が来るとなると、一家総出で、板を切って、窓ガラスに打ち付けた。この時、木を切る時にふっと技術家庭の鋸の刃の使い分けなんかを思い出す、子どもだから力がないから時間がかかるけれど、目の細かいほうで切る、という具合である。

 

 

 時代が進んで、台風が来ても、台風くらいで壊れる窓はなくなり、わざわざ自分で板を切る必要がなくなってきた。すると「作る」、「直す」という「体で生きる」ことも必要なくなってくる。もはや工夫して「生きる」ことは必要なくなり、考えなくても「生活」ならできる。結局、生きるために学習する必要はなくなる。

 

 

また、大人は子どもに「いい学歴を得ないと、いい生活ができない」と勉強を勧める。これはしばらくは説得力があったし、今も部分的に通用する。しかし、子どもは、理屈で納得できても、学歴のためというと、ますます、勉強というものがただの手段に思えてくる。手段に過ぎないとなると、どんなものもその本質的な価値を消失する。

 

 

食事だってそうでしょう。栄養補給の手段としか思わなければ、食事なんて味気ないものだ。カロリーメイトで十分だ。ところが、この「いい学歴を得ないといい生活ができない」という論理が通用しにくくなっている。モノが豊かになり、たくさんの若者が「仕事につかなくても生活できる」時代になってしまったのである。もう「生活のために勉強する」というリアリティはなくなった。勉強に意味を見いだせなくなってきたのは当然である。

 

 

 ここでの私の定義をあらためて確認すると、「生きる」というのは、生身の体で接し、予期せぬ困難に打ち勝って生き残ること、「生活する」とは命を生き長らえることです。その意味で、やはり現代は「生きる」ことと「生活する」ことが一致しない現代だと感じます。

 

 

 勉強の価値、意味がなくなってきている豊かな時代、子どもたちが「なんで勉強せんとあかんのか」と問うのは自然な流れなのだ。しかし、指一本であらゆることができるこの科学技術の結実した社会も、あの阪神・淡路大震災でわかるように、一瞬にして、我身一つが生きるために頼りとなる状況に陥る危険を孕んでいる。だからこそ、私たち親が、勉強が生きるために本当に必要なものであることを根気強く言い続ける必要がある。登山やキャンプのような非日常の場を「生きる」ことの模擬体験の場として親子が経験するのは一つの方法かもしれないが、そこまでしなくても普段の生活の場面、場面に勉強をからませていくことでも十分だろう。

 

 

 

 

薬師先生、ありがとうございました。

 

 

 

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