「教えて先生!」は、子育てや学習などの悩みや質問を、塾選びアドバイザーの早水(ハヤミズ)が、保護者やお子さんに代わって富山県内の有志の先生に相談、解決のヒントをお答えいただくコーナーです。
ではまず、きょうのお悩みのご紹介です。
我が子の反抗期、どうつきあっていけばいいの?です。
お答えいただくのは、星槎国際高等学校の高野愛先生です。先生!どうぞよろしくお願いします。
星槎国際高等学校 富山学習センター センター長
星槎大学 富山学習センター 地域相談室長
NPO法人 星槎教育研究所 ふれあいフリースクールせいさ☆ういず代表
星槎学童保育富山 代表
高野 愛 (たかの めぐみ)先生
1981年富山県富山市生まれ。 富山国際大学を卒業後、2004年から星槎国際高等学校富山学習センターで英語科教員として勤務。2013年、文部科学省委託事業である「日独青少年指導者セミナー」メンバーとして、日独の行政機関、関係団体・施設等での実地体験、青少年教育指導者との研究協議などを行い、青少年教育指導者としての資質・能力の向上を図った。同年、銀座コーチングスクール認定コーチ資格取得。 2014年4月よりセンター長。同年より朝日新聞「朝をひらく」にコラムを掲載。
反抗的態度の原因と、向き合うときに、親が知っておきたいこと
ハヤミズ
素直だったお子さんが、大人に近づくにつれて、以前ほど話をしなくなったり、親とぶつかるようになったり、いわゆる反抗期といわれる時期のお子さんとは、どのようにつきあっていけばよいでしょうか?
高野先生
反抗期といっても、それぞれのお子さんによって重さは違いますね。男子だと髪を茶色に染めてみたり、非行化に走る子もいれば、まったく家で話さなかったり、女の子でも、言葉遣いが「うるさい、クソババ」みたいな感じになったり、言葉や物に当たったり。わかりやすい状況だと、閉じこもるか、開放的になるかという傾向がみられることが多いです。
ハヤミズ
そういうとき、お子さんは、どんな気持ちなのでしょうか?
高野先生
子どもたちに、そのときの気持ちを聞いてみると、誰も自分の気持ちをわかってくれる人がいないというさみしさや、自信の持てなさを感じています。心と体の成長のバランスや、年齢に気持ちが追い付かず、しんどい気持ちが高じて、親にひどいことを言ってしまった。これでおかあさんと喋れなくなったと、自分を追い込んで、後悔したりしているんです。
思春期のこどもたちも、人間関係で疲れることが多いのです。さからえない先輩との関係や、過度な親からの期待、また、誰だれちゃんはやっているのにとか、人との比較をすごく嫌がるお子さんは多いです。「あんた、なんでできんがけ、にいちゃんはできたんに」とか何気ない言葉に劣等感を感じてしまう。また、親が勉強面で過度に期待すると、思っている以上にプレッシャーを感じ、期待におしつぶされてしまうお子さんもいます。
反抗期もこじれると、人間関係がうまく築けなくて学校に行けなくなったり、親との関係や家庭状況が悪くなって、ひきこもってしまう場合もあるんですね。
ハヤミズ
本人も、もやもやと、つらい気持ちなんですね。
高野先生
こどもたちに逆に、どういう態度だったら嬉しいの?と聞いたところ、「味方であってほしい」「自分の気持ちをわかってほしい」という言葉が返ってきます。親がつい気持ちを押し付けてしまったり、頭ごなしに否定してしまうとき、お子さんは、一回の言葉やできごとで傷ついてしまい、いまだに根を持っている子がすごく多いんです。そこがすごく根深くなっているので、言葉に気を付けながら、その子自身を認める、受容的な態度で共感する気持ちで接すると、違ってくるんじゃないかなと、こどもたちの話を聞いて思います。
ハヤミズ
子どもを見ていると、宿題しなさいよとか、その髪型はなに、とか、親ならつい悪気なく言ってしまいそうなときもありそうですね。
高野先生
基本的には、気持ちを受け止めることですね。「今はしたくない気持ちなんだね」と、いったん受け止める。「じゃあ、いつするのー」とか「いつまでにしないといけないの」とか「何分くらい時間必要なんだろうね」とか、具体的に質問をして、でも「それはしないといけないから自分で時間を決めてやられー」とか、決定権を本人に与えさせるのはポイントになってくるかなと。
で、もしそこでわからないことがあったら、おかあさんに質問しなさいねと、まかせっぱなしにしない。逆に「もしかして疲れてるの」とか、気遣ってあげたり「どうしたの、なんかあったの?」とか話を変えてみるというか、そういうも、ひとつの手かもしれないですね。
まず、今したくない気持ちを受け止めてあげる。じゃあ、それであなたはどんなふうに宿題をやっていくの?と、そんな感じで聞いていきます。
ハヤミズ
わが子を、ひとりの人間として敬意を払っている、尊重するといった気持ちが伝わるといいですね。
高野先生
わたしは、星槎で英語を担当しているんですが、生徒が英語の勉強のやり方がわからない、わからないからできないといる生徒もけっこういるんですね。そういうときは、「どう、大丈夫?」という声掛けをまずして、「わからないなら、じゃあいっしょにやろうか」と一問解くとのってくる、そういう感じ、ひとつひとつ、解いていって、「これは、あと自分でやってみよう!」と言って、終わったら「すごく頑張ったね」「結局、最後まで自分でできたじゃない」みたいに、最後はほめる。そうすると定着してくるスタイルがあります。
家庭でも、最後に言葉で伝えてあげると、私のことを認めてくれているんだと、子どもの気持ちもおさまる。最後のメッセージを忘れないことが大事ですね。
反抗期のない子の場合は?
ハヤミズ
反抗期がないお子さんもいるのでしょうか?
高野先生
今までに何人もそういう子どもがいました。そういう子は、なかなかイライラを表に出せないんですね。過去に過度に怒られてしまって、逆に反抗できなくなってしまった、複雑な気持ちが積み重なって、成長の過程で反抗したかったのに、できなかった気もちが残って、不登校につながったり、成人して25歳くらいで遅い反抗期になったりするお子さんもいます。真面目な子や、慎重だったり、敏感な子に見受けられますね。
ハヤミズ
気持ちを出しにくいお子さんの場合は、どのように接していけば、表しやすくなるでしょうか。
高野先生
自分のお子さんが、言葉でイライラを出せないタイプだと思われる場合には、質問を、イエスかノーで短く答えていけるものにしてみたり、「疲れてない?」とか、気持ちを伺ったりして、リラックスできるような環境を意識的に工夫していくと良いですね。
ラインのスタンプ゚や簡単な単語、手紙とかでコミュニケーションするのも良いし、一緒に料理したりとか体験活動したり、ゲームもいいですよ。父と息子で共通の話題で話しているとき、ぽろっと、「実は最近・・・・」というような言葉が自然に出てくるようになる。
もし、朝ご飯の時だけとか時間がとれなくても、顔を見て、いま、その子がどんな状態かみのがさず、少しでも対話できる時間をつくる。つぶやきをキャッチできる環境を作ることですね。
ハヤミズ
一緒に過ごす時間の長短よりも、親からしっかり認めてもらっているという実感が大切なのですね。
反抗期は親子のきずなを深めるチャンス!おかあさんも、がんばりすぎないで
高野先生
はい。親御さんは、まずお子さんが反抗期であることを受容して、健全な成長のあかしだと、どんと構えることです。あまり過度にうちの子だけおかしいんじゃないかとおろおろしない、そして、きたきた反抗期、待ってました!くらいの感じで受け止めるくらいでいいんですよ。
おかあさんの態度を子どももしっかり見ているので、毅然とその時期が来たことを受け止める。反抗期はお子さんとの信頼関係を深めるチャンスだと思います。
ハヤミズ
つい結果を出したがったり、誘導したりしたくなりますが、待つ心の余裕が大事なのですね。反抗期というと、子どもにばかり目がいきがちですが、親としての感情のトリセツも大事なんだとわかりました。
高野先生
こどもにとって、親は絶対的な存在なので、親からの愛情がちゃんと伝わっていってほしいですね。おかあさんたちが、子どもを認めて、愛しているんだよというのがちゃんと子どもに伝わることが自信になって、がんばろうと思えるものです。
教育現場でも、なかなか気持ちを表せなかったお子さんの心のつぼみが、ぽんと開く瞬間があるんです。この大人は安心してもいいかな、安心できる人には心を開く、それが親だったり、兄弟だったり、先生だったり、その瞬間に立ち会えるのも、教師としてやりがいを感じます。
おかあさんもがんばりすぎずに、息抜きできる場所を作ってくださいね。誰にも相談できない、本音を言える場所がないと、小学生から高校生のお子さんの保護者の方が、相談におみえになっています。
ハヤミズ
私にも、小さな子どもがおりますが、成長を「見守る」気持ちを、心がけていきたいと思います。学校や学習、子育てのことなど、高野先生に直接、相談がしてみたい方は、3月17日のイベント「行列のできる!!教育相談所」で、先生と個別にお話しできるチャンスです。ぜひ、この機会を活用してください。
(構成・スタッフ風谷)
高野先生、ありがとうございました。
☆高野先生のいる星槎国際高等学校☆
星槎国際高等学校
富山県富山市愛宕町2-4-6
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