「これからの時代、子どもの非認知能力を伸ばさなくてはいけない」という声を耳にしたことがある親御さん、多いのではないでしょうか。
非認知能力とは、「やり抜く力」「好奇心」「楽観的主義」「誠実さ」など、学び生きるための底力になる能力をさします。
ただ「非認知能力が大切です」という話に対して、どうやってその能力を伸ばしたらいいのかという話を聞くことはあまり多くないのではないでしょうか。
今回ご紹介する本『私たちは子どもに何ができるか』は、「結局、非認知能力を伸ばすにはどうしたらいいの?」という親や教師の疑問に対してひとつの答えを出してくれます。
ポール・タフは、子供の教育問題と教育政策を専門とするジャーナリスト。
この本では、非認知能力がなぜ大切で、どのように育まれるか、何が非認知能力の発達を妨げるのかを長きにわたる実験と研究から明らかにしています。
中でもタフは「子供が感情面、精神面、認知面で発達するための最初にしてきわめて重要な環境は、家である。
もっとはっきりいえば家族だ。ごく幼いころから、子供は親の反応によって世界を理解しようとする」と述べ、子どもの非認知能力を高めるために、親が作り出す環境が重要であることを強調しています。
子どもの非認知能力を高めるため親はどうしたらいいのか、『私たちへ子どもに何ができるか』を参考にまとめました。
アメリカでは当初、非認知能力を学問と同じように子どもに知識として教えようとする実験が行われました。
しかしながら結果は薄く、学問として非認知能力を教えることは難しいということがわかりました。
一方、子どもに働きかけるのでなく、親や教師に子どもの非認知能力を育むための教育を継続的に行ったところ、子どもに明らかな改善が見られたのです。
その中で、子どもの非認知能力獲得をさまたげるのは、長期にわたる家庭のストレスが原因であることが明らかになりました。
親同士のけんかや虐待、ネグレクト、離婚、精神疾患、アルコール、薬物依存などから来るストレスに長期間さらされると、子どもは「自分の環境は不安定で予測がつかない」ととらえ、信頼をもって周りと関わり、学業に取り組むのが難しくなるというのです。
つまり子どもの非認知能力を育むためには、親子の良好な人間関係を軸とする安定した環境づくりが非常に重要になるのです。
親子の間に良好な人間関係を作ることで、子どもは心の安定を取り戻し、その安心を基盤にして非認知能力を伸ばすことができるというわけです。
では子どもの非認知能力を伸ばすため、親はどのように行動したらよいのでしょうか?
具体的な5つの方法をご紹介します。
子どもと一緒に過ごす時間を増やしましょう。
子どもは親へ愛着を持つことにより、心の安全基地を作ることができます。
子どもと話す時間を増やし、一緒に本を読んだり一緒に遊んだり(同じ作業をしたり)と、家で子どもと向き合う時間を作りましょう。
この試みは幼少のころほど効果が大きいですが、年齢が上がっても繰り返し時間を設けることによって効果が表れます。
なかなか難しいことだとは思いますが・・・親は子どもの行動にイライラして声を荒げてはいけません。
声を荒げるのでなく、子どもの気持ちに同情を示しつつも、ルールは守らなくてはいけないという態度を取りましょう。
また親はイライラした時、自分が感情的になっていることに気づき、「子どもが良くなるにはどう言ったらいいか」をすぐに思い出せるように気をつけることが大切です。
失敗したときに「失敗したもう終わりだ!」と思うか、「失敗は長い人生のごく一部。改善してやり直すことができる」と思うかで大きな違いが出てきます。
子どもが失敗したときに、親や教師がどのように言葉をかけ・対応するかによって、子どもは失敗に対してどのように受け止めたらいいのかを学びます。
子どもが失敗したときにこそ、親は注意深く、温かい言葉と冷静さをもって前向き対応しましょう。
ストレスに正しく向き合うことで、子どもは失敗にくじけず、粘り強く取り組む力を身に付けます。
親は「グループでプロジェクトを進める」「多人数の前で話す」など、子どもが難しくて緊張することに挑戦するチャンスを作りましょう。
重要でやりがいものある問題に数多く取り組むことで、「私の能力は努力で伸びる」「成功させることができる」という体験と自信を得ることができるのです。
本書で比較的大きく取り上げられていたのが、親自身のセルフケアを怠らないようにということでした。
親が子どもにストレスを与えてしまう原因と、親が子どもにかまえない原因は、親自身の睡眠不足や疲労から来るストレスにあるというのです。
親は子どもに安定した気持ちで接せられるよう、自身の心と体を充分に休ませましょう。
『私たちは子どもに何ができるか』を参考に、親が子どもの非認知能力を高める方法をまとめました。
子どもの非認知能力は学問として教えることが難しい一方、親と安心できる人間関係を築くことで、その子の力を伸ばすことができることがわかりました。
いつでも子どもに対して前向きに対応するのは難しいかもしれませんが、時折「子どもにイライラをぶつけてしまうと非認知能力が伸びない」と思い出して、冷静になりたいものですね。
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ーーーーーこの記事を書いたのはーーーーー
稲泉 景子 (いないずみ けいこ)
富山で5歳男児子育て中の主婦。
これから子どもにどんな教育をしていけばいいのかお悩み中。
子育て本や教育本を読むのが好き。趣味はカフェ巡りとラクガキ。
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【参考文献】
ポール・タフ, 『私たちは子どもに何ができるか』, 英治出版株式会社, 東京, 2017年。